knows’s diary

Need not to know ~知る必要のないこと~

パレット 世界設定

ゼブル思想
「人は帰るべき場所があれば、それだけで心に安らぎを得る事が出来る。」という考え。もともとは国境近くのゼブル地区に住んでいた、不法就労者達の間から広まったものとされている。後にゼブル地区には、戦災孤児、路上生活者など、「帰るべき場所のない人」の為の街が造られることになる。終着都市「ゼブル」の誕生である。

終着都市ゼブル
ゼブルの建設は国家により行われ、前述の者たちが優先して居住資格を得る事が出来た。彼らには居住施設の貸与、食料の配給などが無料で施され、それはさながら豪華な収容施設のようであった。財源は当初国の予算から賄われていたものの、その存在が世に知られるにつれて資産家や慈善団体の目にとまる
ようになり、彼らからの寄付によりその運営が成り立つようになった。 だが、人々の中にはゼブルの存在を否定する者もいた。実際にゼブルを目にしたものは少ない。その存在目的が語られたことも無い。絵に描いた楽園が地上に現れたとき、人はそこから目を背けようとする。ただ、確かにゼブルは存在する。それが楽園であるかどうかは、別として。

チャイルド・ロンダリング
ゼブルで一生を過ごす者もいれば、数年でそこを離れる者もいた。養子として他の街に引き取られる子供もいた。とりわけゼブルの子供は聞き分けがよく、素直な子供が多いという噂が立っていたのも事実である。しかし、ここでもう一つ聞き逃すことの出来ない話が存在する。「ゼブルの子供は皆、それ以前の
記憶を持たない」という話である。ゼブルに来る前、一体どこでどのように暮らしてきたのか、それを尋ねても皆一様に覚えていないというのである。そこで起こったのが「チャイルド・ロンダリング疑惑」である。つまり、ゼブルという町全体が子供の素性を隠す為の経由地点ではないかと考えられたのである。
大手新聞、雑誌社によりその疑惑は大きく報道されたが、すぐにそれは沈静化した。現在、その疑惑を覚えている者はほとんどいない。全ての物事に価値が存在するのだとしたら、最も価値の無いものは「真実」なのかもしれない。真実を突きつけることは、人命を守る目的に程遠いのだから。